有機農業

2025ライ麦を利用した有機大豆不耕起栽培試験まとめ

gengo

2025年に当農場で行った なんちゃって「ライ麦を利用した有機大豆不耕起栽培試験」 をまとめました。
結論から申しますと、全く と言っていいほど結果は出ていません。
(相当、お暇な方でない限り読むのは時間の無駄です…)
あくまで、当農場の備忘録として残します。

なぜ、当農場で有機不耕起栽培なのか

当農場では、pirkaamamさんの農業を真似て 2013年秋より大豆小麦を中心に有機農業に取組んでいます。

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素晴らしい技術で、大豆の雑草対策に関しては、十勝の農家の多くが持っている市販の整地機械と畦間カルチベータがあれば、取り組めます。
前年の秋に整地機械で浅く耕すことを数回繰り返し雑草対策をし、春にも浅く数回行い、播種してからは、出芽時から 数回畦間カルチベータ で培土を繰り返すという 誰でも取り組める簡単な農法です。
10年前より、アップデートされていてより簡単にできるようになっています。
培土するだけなので、多少の傾斜や畝が多少ずれてもあまり支障はありません。

当農場の問題点

  • 機械作業に支障がでる傾斜がある畑  畝が大きくずれ精度があがらない、または作物を傷める
  • 水はけが悪い畑  適期の作業を逃す確率が高くなる

今まで条件の悪い畑は、大豆を播く回数減らしたり、そもそも大豆を播くのは 避けてリスクを回避していました。

有機に取り組んで間もないころ、動画サイトで、大きく育ったライ麦をローラ―クリンパという機械で押倒し、ライ麦の抑草効果を利用し大豆を播種しているのを見て興味が湧きました。

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不耕起栽培が土壌に炭素を貯留し、温暖化対策になると知ったのは その後です。
水田がメタンの発生源となっていて、環境に悪いと外国人農業者に言われたのも このあと…(…水を張っているんですよ、あの美しい風景が温暖化に貢献しているとは思いたくない自分がいます。)

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有機農業は環境に良いと言いますが、

  • 浅くとはいえ、耕起回数が多いやり方は、温暖化対策に逆行しているのではないかとの疑問もありました。

こうしたこともあり、当農場にとって有機不耕起栽培が可能であれば 当農場の課題解決になるのでは ということで2024年から試験的に栽培しています。

2024年有機不耕起試験の反省点

2024年播種のようす↓

2024年の試験の反省点として

  • ①ライ麦の生育量(バイオマス量)が少なかった
  • ②播種機の設定が悪く、播種深度にムラがあり、出芽率が悪かった
  • ③大豆の生育が悪く、丈が短く、畝が塞がらず、雑草が抑えきれていない
  • ④当農場の雑草の種子量が、桁違いに多い(のではないか)
  • ⑤ライ麦の再生が多くみられ、雑草化するリスクが高い

などの改善が考えられました。

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2025年ライ麦を利用した有機不耕起栽培試験

圃場の選定

前年の反省点
⑤ライ麦の再生が多くみられ、雑草化するリスクが高い
の対策。
ライ麦の作付けすることによって、小麦の作付け時にライ麦が混ざることをできるだけ避けるため、輪作上でライ麦を作付けする圃場を決め、輪作上小麦を播かないようにすることにしました。
ライ麦は土壌改良効果が高いので、条件の悪い圃場を中心に決めました。
前年度、ライ麦の作付けをはじめ、候補圃場すべてに作付けしたため、

  • 2025年試験圃場はライ麦の収穫後の圃場、つまりライ麦の連作となりました。(結果的には試験圃場としては選定ミスでした、)

(次年度以降、集荷会社でライ麦の集荷を大幅に縮小する方向性ということで、ライ麦を作付けする圃場を決めたことに 意味はなくなりました…(´;ω;`))

ライ麦の播種

前年の改善点の一つとして
・③大豆の生育が悪く、丈が短く、畝が塞がらず、雑草が抑えきれていない
生育の悪い条件として、肥料分が少ないことも影響しているのではと考え、
対策1

  • 牛糞堆肥を3~4t/10a散布しています。(ライ麦収穫→茎葉処理→堆肥散布→整地→播種)

この技術は大豆播種時期はライ麦の開花後とされています(開花前にローラーをかけるとライ麦が再生し実をつけ雑草化するリスクが高くなる)。播種時期が遅く生育期間が短いことも影響しているのではとの疑問から、
対策2

  • 早生品種ライ麦の試験も行う(早めに大豆を播種できる)

また、改善点①
・①ライ麦の生育量(バイオマス量)が少なかった

  • 播種量を15~20㎏/10aにして生育量を確保する

普通ライ麦の播種は 2024年9月21日 13.5㎏/10a
早生ライ麦の播種は 2024年9月22日 18.5㎏/10a

と普通ライ麦の播種量が目標に届きませんでした。
畝幅30㎝の国産播種機で播いています。(もっと狭畦の方が良いような気がします。)

雪解けから大豆播種まで

早生品種の、冬枯れが目立ち、春のスタートも遅れ普通品種と変わらない生育となりました。
普通品種も冬枯れがあり、連作の影響なのか両品種とも生育がイマイチ…
①ライ麦の生育量(バイオマス量)が少なかった
という課題を今年もクリアできませんでした。この時点でライ麦での抑草はあきらめるべきなのですが、有機不耕起試験つづけたいのでそのまま続行します。(これといったBプランも考えていなかったのもありましたが…)
早生品種の特性を生かしての早めの播種試験はあきらめました。

その代わりに ライ麦の開花を待たずに不耕起播種機で早めに播種をし、ライ麦の開花を待ってあとからライ麦を倒す試験区を 両品種とも作ることとしました。

試験としては

A.ライ麦の開花前に大豆を播種し、ライ麦の開花を待ってローラークリンパを施工する 早期播種区 と

B.ライ麦を倒しながら同時に大豆を播種する 同時播種区

となりました。(早生品種、普通品種とも)

大豆播種

A.早期播種区

2025年5月23日に播種しています。↓

前日の夜に雨が降り、スピードを上げて作業するとコルターで湿った土が巻き上げてしまうのでゆっくり作業をしています。

5月30日には出芽を確認しています。↓

6月13日にローラ―クリンパを施工しています。↓

↑ライ麦の1本1本が貧弱で 雑草を抑えるにはバイオマス量が足りないように見えます。連作の影響と考えています。

B.同時播種区

6月10日に同時播種をしています。

ライ麦の開花期を迎え花粉が飛んでいるのがわかります。↑
不耕起播種機は アグリシステム株式会社 のご厚意で借用させていただきました。ありがとうございます。

この後 6月18日、ローラ―クリンパをもう一度施工しています。

生育のようす

←左側が同時播種区(6/10播種)

→右側が早期播種区(5/23播種) 

6/27↑
明かなに早期播種(→)の方が生育早いです。当たり前です…
早期播種の方は、ローラ―クリンパ後、起き上がっているライ麦の率が高かったです。

7/1↑

7/12↑
早期播種(→)の方は、ライ麦が起き上がり気味で 見た目には、同時播種の方(←)が緑が濃く生育が良いように。実際には丈も生育も早期播種の方が良いです。

8/3↑
早期播種(→)の方は鞘になっていますが、同時播種(←)の方は、まだ花が咲いています。

9/8↑
雑草が大豆の背丈を超え、大豆の畑と認識できなくなりつつあります。

9/21↑
山際を中心に 鹿の食害、踏みつけ、寝床にしたり、被害が甚大に。

9/26↑

10/20↑
霜も降り雑草も枯れはじめています。

10/29↑
撮影した時間帯が違うため、色に違いが見えます。
同時播種(←)鹿に踏み荒らされ酷いことになっています。
最低気温が氷点下の日が続き、雑草の水分も落ちコンバインでの収穫が可能になりました。
北海道の中でも 比較的 根雪が遅く、氷点下になる日が多い十勝地方は、雑草害が多少であれば収穫できる可能性は高いかと感じています。

収穫

10/29↑ 収穫

坪刈(参考)

早期203㎏/10a
同時132㎏/10a

各1ヵ所ずつしかしていません。 中庸なところを選んだつもりですが、鹿害もひどく参考程度にしかなりません。実際は、鹿害甚大で収穫不能のところもあり 均すと 120㎏/10a程度でした。

省察・検討

2024年の反省点から

①ライ麦の生育量(バイオマス量)が少なかった

2025年も改善できませんでした。
堆肥散布、ライ麦の播種量を増量しましたが、ライ麦の連作の影響が大きく生育量が確保できていない。
販売収穫用のライ麦の生育がよく、播種量5kg/10aでも倒れてしまうほどでした。
肥料や播種量の対策も良いとは思いますが、生育を見て試験圃場を変えるなど、バイオマス量を見て 判断も必要かと…

②播種機の設定が悪く、播種深度にムラがあり、出芽率が悪かった

2025年はメーカーの担当者に来てもらい、満足できました。
不耕起栽培を本格的にやるとなると、購入を考えなくてはいけません。
輸入機、国産機とも高額でなかなかハードルが高いです。

③大豆の生育が悪く、丈が短く、畝が塞がらず、雑草が抑えきれていない。

早期播種が圧倒的に丈も高く良い印象です。
次年度は、もう少し早めに播種する試験も考えています。

品種の選定も必要、マメシンクイガの被害が多いので被害の少ない小粒大豆(ユキシズカ)で試験をしていますが、初期生育が普通大豆と比べ緩慢で、草型も畝を覆うような生育をする方ではありません。
マメシンクイガの被害が少なければ、普通大豆で初期生育が良く、早めに畝が塞がるような草型の品種を選ぶのが良いのではないでしょうか。

④当農場の雑草の種子量が、桁違いに多い(のではないか)

すぐには改善できません。
2025年は猛暑の影響か、慣行の除草剤を使用している大豆の生産者でも雑草に覆われる畑が目立ちました。
不耕起区の雑草の草丈は、それと比べれば低かったです。(なので、何とか機械収穫できました)

⑤ライ麦の再生が多くみられ、雑草化するリスクが高い

輪作上で ライ麦を取り入れる圃場を決めましたが、集荷業者がライ麦の集荷を縮小する意向のため 意味をなくした。

その他

・雑草対策
海外の研究機関の紹介圃場では、雑草のない きれいな有機不耕起大豆圃場が広がっています。
以前ローラークリンパーを使っている有機農家が機械を紹介した動画を見たことがあります。(残念ながらアカウントが削除されていて今は見られません。)
現場では雑草に苦労されているようで、雑草対策機械が紹介されていました。
いずれも多畦に作業する
①畝間に作用させる雑草や再生したライ麦を倒す、畝間ローラ―クリンパ
②畝間に入るモアの刃をつけた草を刈る機械
③Weed Zapper 高出力の電気で、作物の上に出た雑草を枯らす機械↓

等々
現場では、雑草対策しなければ、上手くいっていないのだろう と想像できます。
日本でも
不耕起栽培の研究者の茨城大学の小松崎教授が除草機械を作っています。↓

当農場の場合 条件の悪い傾斜地で不耕起栽培を行いたいので、畝を作ってその中を走る機器だと、前述した

畝が大きくずれ精度があがらない、または作物を傷める

ため、同じ問題に帰ってきます。そうは言っても、当農場で有機不耕起栽培を成功といえる結果を出すには、除草機器は必須です。

・シカによる食害

条件が悪い畑を不耕起試験圃場にするため、山が近い圃場が多く 獣がいつでも隠れられます。
不耕起で雑草が繁茂してくると、鹿も堂々と食べたり、歩き回り、寝床としたり、被害が大きくなりました。
とても試験どころではありません。
次年度に間に合えば、電気柵で囲う予定。
ゲイブ・ブラウンさんの土の健康5原則の一つに 動物を組み込む とあり、野生動物でもよいのではという人もいました。しかし、ある程度管理できるものでないと …野生の鹿にそれを求めるのは難しいです。

・不耕起栽培に対する疑問

不耕起は、耕起しないことによって、有機物の分解が遅れ、結果的に 炭素貯留が増えるのではないでしょうか
決して、作物の生育が 表層耕起した畑より良いとは感じられません。
(当農場の試験圃場での感想です。)

当農場は、もともと表土が浅く 養分供給量も少ない 根圏も狭い 等が重なりあまり良いとは感じられないのかもしれません。

大豆が無肥料でも倒伏したり、養分供給を減らした方が良い肥沃な圃場であれば、上手くいくイメージはあります。(有機管理では難しいとは思いますが…)

・ゲイブ・ブラウンさんの土の健康5原則
の内、有機不耕起栽培試験で
・土をかきみださない
・土を覆う
・生きた根を保つ
は達成しています。

・多様性を高める
・動物を組み込む
については、雑草が生えることだったり、野生の鹿によってできていると言えなくもないですが、積極的に管理してそうなっている訳ではありません。これらをクリアすれば新たな未来が見えるのか…・

・pirkaamamさん培土型カルチの再評価

改めて、pirkaamamさん培土型カルチ
前年の秋に整地機械で浅く耕すことを数回繰り返し雑草対策をし、春にも浅く数回行い、播種してからは、出芽時から 数回畦間カルチベータ で培土を繰り返すという 誰でも取り組める簡単な農法です。
の素晴らしさも感じています。
圃場の雑草種子のコントロールをして、大豆の特性を生かした除草法、それでいて決して土地が瘦せていっているわけではありません。
pirkaamamさんは 2025年に 無肥料で 大豆420㎏/10a 普通小麦きたほなみ 540㎏/10a(いずれも粗原料)を記録したそうです。
当農場では足元にも及びません。

前年にゲイブ・ブラウンさんの農業を伝える農業コンサルタントUnderstanding Ag のチャックさんが来た際、pirkaamamさんの圃場の土を掘り麦の根を見て 日本の視察で見た中でいちばんよい土とおっしゃたとか。
不耕起での理想の土を表層耕起でも実現できるってことなのでしょうか

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