オフイビラ源吾農場の有機農法
こちらのページは北海道の畑作農家さんで小麦・大豆を中心とした(または取り入れた)有機農業をしてみたいと考えている方向けです。
『お手本』農家(pirkaamam)さんのやり方を真似してみて非常によいと納得できたので1つの方法としての提案です。当然ですが他にも方法は沢山あります。参考になれば幸いです。
当農場のオリジナルのものではありません。いろいろなところで紹介されているので知っている方にはそれ以上の情報は少なく残念ですが参考にはなりません。
(『お手本』にした農家さんの事例は載っていませんが、北海道の農政部HPで
が載っています。
また、同じく北海道農政部のHP内の
も参考になれば。)
「お手本」農家さんの農法
オフイビラ源吾農場が手本にした農家さんの農法を紹介します。
(毎年進歩しているので当時と今現在のやり方は少し違います。)
非常にシンプルです。
堆肥も有機肥料も使いません。
1年目 種をまくまで | 種をまくまで雑草対策のための浅く耕します。(1〜2週間おきに) お手本にした農家さんではロータリーという機械で浅く機械の回転は遅く作業スピードは早めに行なっています。 |
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5月中旬 | 大豆の種をまきます。株の間は30cmで1株に5粒以上まきます。列の幅(畝幅)は任意で。 |
5月下旬から7月 | カルチという作物の列(畝)になった間を浅く耕す機械(中耕)で除草します。芽が出る頃から大豆の株元に土寄せ雑草を埋めて行きます。1〜2週間おきに作業します。 お手本にした農家さんでは日農機製工の草刈るチの初期型を使用していました。 1回目(1回目の作業が大事)芽をだした頃から葉が開く前までに埋めるように作業する。(1株に5粒以上まいてあるので、多少埋まっても大丈夫、5粒の力で土を押し上げてきます。) 2回目以降 1〜2週間おきに雑草を埋めるように少しずつ株元に土を寄せて行きます。蕾をもつ頃まで行う。 (ウイングデスクは作物側に土が飛ぶようにセットし、株間輪を左右を替え、前後の向きを反対にし株元に土を寄せるようにセット、ウイングデスクで土を株間輪に当て株間輪で株元に寄せる感じで作用させる。1回目はチェーン付きくまでを使うと良い、なお株間輪を反対に付けて作業する使い方は日農機では推奨しておりません。) |
10月〜11月 | 大豆を収穫。収穫後、雑草対策としての浅く耕します。 手本にした農家さんではロータリーという機械で浅く機械の回転は遅く作業スピードは早めに行なっています。 |
2年目 種をまくまで | 種をまくまで雑草対策のための浅く耕します。(1〜2週間おきに) 手本にした農家さんではロータリーという機械で浅く機械の回転は遅く作業スピードは早めに行なっています。 |
5月中旬〜5月下旬 | シロカラシ(または他のたね)の種まきをします。 |
7月 | 花が咲いて実(種)をつける前に畑に混ぜます(緑肥)。次の種を植えるまで1〜2週間おきに浅く耕します(雑草対策も兼ねる)。 手本にした農家さんではロータリーという機械で浅く機械の回転は遅く作業スピードは早めに行なっています。 |
8月下旬 | 秋まき小麦の種と白クローバの種を一緒にまきます。 |
3年目春〜夏 雑草対策 | ・小麦の生育を邪魔するもの、小麦より早く実(種)をつける草は取り除きます。(ギシギシ、マツヨイセンノウ、イヌカミツレ、ハルザキヤマガラシ等) ・スギナ、ナズナ、ハコベや小麦より大きくならず収穫に邪魔にならない草は取らなくても良い。 ・間に合わないときは花が咲いているうちに実(種)を地上部だけを刈って圃場に置いて行きます。(まずは種を増やさないことに専念) |
7月〜8月 | 小麦を収穫します。 |
小麦収穫後 | 収穫後、クローバーを育てます。2週間〜4週間 |
8月下旬〜11月 雑草対策 |
クローバーが十分育ったら、クローバーと麦わらを混ぜ込みます。(緑肥)次の種を植えるまで1〜2週間おきに浅く耕します(雑草対策も兼ねる)。 手本にした農家さんではロータリーという機械で浅く機械の回転は遅く作業スピードは早めに行なっています。 |
4年目(1年目に戻る) | 1年目に戻り3年を1セットとして繰り返します。 |
(畑に機械がはいる際はやむを得ない場合を除いてできるだけ乾いているとき。(これが実は一番難しいのですが))
区画を3区画(3圃式)作って行います。
区画1 大豆(1年目)
区画2 畑を休ませる(緑肥)(2年目)
区画3 秋まき小麦(2〜3年目)
1年目、2年目、3年目となっていますがどこからはじめても良いと思います。
お手本にした農家さんでは2年目、3年目の繰り返しのパターン畑を休ませる(緑肥)→小麦(2圃式)も行なっています。
秋にまいた小麦の畑で冬までに出る雑草のうち1年で実をつけるもの(単年草)は冬の寒さで枯れてしまします。そういう意味では北海道の気候を利用した寒い地方でしかできない技術なのかもしれません。
発芽をさせない効果もあると聞いたことがある…
もっと雑草のたね増やしたいとも
大豆間作のオーガニック(有機)小麦の方法を行なっている方も…
大豆間作とは、
オーガニック(有機)大豆の収穫時期(10月中から下旬)の1〜2ヶ月前、9月上旬の大豆生育中に小麦の種をバラマキします。
大豆の生育が進み、葉が落ちて影となった小麦の種が発芽し生育して行きます。
長所
- あやしげな資材を必要としない
- 収量が半減するため収穫に関わる機械が能力が倍になり余力ができる。
- 病害虫が出るが、栄養が過多ではないせいか壊滅的な被害にはなりにくい(ように感じる)。
- 新たな投資が少ない。
- 取り組みがどうしてもできない、合わない時はいつでもヤメられます。
短所
- その土地の持っているポテンシャルがそのまま現れる
- 浅く耕すとはいえ、表面に何も生えていない状態(裸地)が続き土地の能力が落ちてしまう(のでは?)
- 小麦の冬枯れに対しては早くまいて体力をつけることしかできないので常にリスクがある。
有機農業(小麦・大豆)に興味がある農家さんへ
北海道慣行畑作農家のかたで有機JASの認証に興味があるけれど取組方がよくわからない方へ
新たな投資もなく、あやしげな資材も使用しないのでリスクが低い取組です。
(注意 当農場の目的としては、畑作農家に有機(オーガニック)の取組みが増え、技術の改善や新たな技術が生まれ、畑作農家の中で有機に取組むことが珍しくない未来の僅かな力にでもなれればありがたいことと考えています。偉そうに書いてありますが、まだ数回の経験しかありません。慣行栽培農家として優れていたわけでもありません。有機(オーガニック)を行ったからといって、全てが解決するわけでもありません。)
ただし、以下の方はこの記事は参考にならないと考えます。
- 有機農業に興味はない。(大多数がこれに当たると思います。)
- 小麦・大豆は興味がない。(当農場ではこれしか経験ありません。)
- すでに「お手本」農家さんのことを多分知っているという方。(「百聞は一見にしかず」です。)
- 目指す有機農業が決まっていて、お手本にする人またはノウハウがある。(船頭は一人の方が良いと考えてます。)
- 豆、小麦は作付けしていないし関連の機械がない。(新たな投資が必要になります。)
- 独自の販路がある方。(自分の強みを知っていれば、ユーザーから要請がない限りは必要ないかと)
- 畝間カルチベータを持っていない。(新たな投資が必要になります。)
- 最初から大きな面積で行いたい人。(覚悟ない限り、おすすめしません。)
これからはオフイビラ源吾農場がお勧めする有機JASへの転換方法
(基本は上記にある『お手本』農家さんのやり方です。)
有機農産物の指定講習会を受ける
講習会を受けなくても取り組み始められるのですが、受講をお勧めします。
(一応書いておきますが、有機JAS認証とって、高く買ってくれる集荷業者はいます。ただし、認証がなくても、独自の販路を持ち信頼のある農家さんではそれ以上の価格で販売している方もおられます。)
有機登録認証機関で受講できます。
うち、北海道に所在地がある認証機関は(H29現在、登録番号順)
北海道有機認証協会(ACOH(アコー))
(2020年1月14日に
日本農林規格認証アライアンス(JASCERT)
へ承継されました)
があります。
各認定機関で有機農産物の講習会を受けましょう。講習料はどこの認証機関も1万円程度でしょうか。
各種手数料も違います。認証事業者も載っているので参考にしてください。
予習としておくなら 農林水産省のページ 有機食品の検査認証制度 から
有機農産物の日本農林規格 や 有機農産物及び有機加工食品のJAS規格のQ&A
に目を通しておくと良いでしょう。
当農場が認証を受けている団体 日本農林規格認証アライアンス(JASCERT) では動画のリモート講習も用意してあります。参考になれば…
畑の選定
- あたり前のことですが条件の良い畑(日当たり、透水性、機械作業性)の方が結果は出やすいと感じています。
- 条件の揃っていない畑で試したい。(私もそうでした。頑張りましょう)
- 初めから大きな面積はお勧めしません。
小麦・大豆どちらから始める?
(慣行栽培小麦のあとの)大豆をお勧めします。
有機JASの認証を受けない場合
大豆の場合、慣行栽培と有機栽培の収量差が少ない作物です。有機JASの認証を受けなくとも自分の経営にあっているかどうか試験的に有機栽培するのにはとっておきの作物と言えます。
有機JAS認証を受ける場合
有機農産物を生産する圃場は『は種又は植付け前2年以上、使用禁止資材を使用されていないこと』となっていますので、この場合有機農産物にはなりません。
ですが、有機転換期間中というカテゴリがありまして『転換開始後最初の収穫前1年以上の間、使用禁止資材を使用されていないこと』とあり、この1年目の有機管理した大豆がこれにあたります。(有機管理した大豆の収穫が10月として前年の8月に収穫した小麦から1年以上経過している)
注意する点は有機転換期間中圃場として申請を出せるのは、この場合前年の慣行栽培小麦の収穫後1年が経ってからです。申請を受理して検査を受けて、適合の結果を受けなければなりません。時間的にも申請から早くても2ヶ月ぐらいはかかります。まして、不適合の結果になる可能性もありますので、事前に講習を受け認証機関との連携を密にしておくことが大事です。適合の判定前に基本的には出荷もできないと考えた方が良いので申請は出せるようになったらお早めに。
認証には『有機管理を始めた日』からの農作業の記録が必要です。『有機管理を始めた日』とは、一般的には前作物の収穫した日です。この場合ですと慣行栽培小麦の収穫日からで、この認証を受ける圃場で行う作業と使用した資材(種子含む)、使用した機械(有機農産物の生産以外にも使用する場合はその機械の洗浄記録)の記録が必要となります。カレンダーでもなんでも良いですから書き込んで保管しておいてください。もちろんアプリなどを活用しても良いです。
色々細かいこともあるのでまずは講習を受けることをお勧めします(詳しくは 有機農産物の日本農林規格 へ、このサイト読んで認証を受けられなくてもこちらでは責任は負えません。)
当農場が出荷している集荷業者では有機転換期間中大豆の取扱いがあり慣行栽培の大豆として出荷するよりは価格の上でかなりの有利販売できます。大豆は有機管理しても収量の落ち込みも少なく有機大豆の価格設定も高いので経済的にリスクの低い作物です。
2年目以降
2年目以降、上記にある『お手本』農家さんのやり方とおり2年目緑肥、2年目の秋に秋まき小麦を播種します。
慣行栽培の小麦を収穫して2年がたち、いよいよ『は種又は植付け前2年以上、使用禁止資材を使用されていないこと』の適合し、有機農産物に適合したほ場になります。
この時点で有機農産物ほ場としての申請をあげるのも良いかもしれません。ただ『有機管理を始めた日』の頃には講習を受けておくことをお勧めします。認識が間違っていて認証が受けられないのはこの2年の代償が大きいです。
小麦については、当農場が出荷している集荷業者も頑張っていてかなりの価格を出してくれてはいますが収量も半減します。販売価格をカバーするのにはあまりあるのですが、交付金も当然半減するのでそこの部分まではなかなかカバーしきれません。ですが有機JASの認証がなければなおのこと作れば作るほど再生産するのも不可能な価格になりますので取得することをお勧めします。
小麦の収穫については、いきなり大きな面積でなければ豆のコンバインなどを麦仕様にして収穫することをお勧めします。投資の必要があるかもしれません。この時点で大豆の有機栽培に手応えを感じていればですが…
当農場の出荷先では乾燥も請け負っていますし、一部コンバインの手配を行っています。当農場でも近隣で小面積なら乾燥も請負えます。
肥料は本当にいらない?
最初の1サイクル(大豆-緑肥-小麦)は有機肥料や堆肥は投入しないこと、その結果をみてから自分なりのアレンジを加えることをお勧めします。当農場で初年度、有機肥料や堆肥を投入した際虫害がひどく何も投入していない畑が結果が出ています。
うまく説明できませんが、意外といけるんです。それは、今まで行ってきた土づくりの成果なのか、もともと持っているその土地のポテンシャルなのか、その作物の力なのかはよくわかりません。なにか不思議な力を感じます。
何も投入しない畑でどのくらいの生育かを見ておくこともこの先にとって良いことではないでしょうか。
(現在、当農場では堆肥を大豆あと緑肥前に堆肥を2t/10a投入しています。ですが、勝手な思い込みかもしれませんが、多くの十勝管内の畑では最初の1サイクル(3年)は必要ないのではと感じています。多くの農家の収量レベルは当農場よりかなり高いと思われます。投入することにより、病虫害を助長する可能性もありますので、小面積で畑で収量レベルを確かめてからでも遅くないと思います。)
いける といわれてもねー
粒ぞろいは以外にもいいんじゃよ
まだ数回だけだよね
慣行栽培の小麦収穫あとの有機管理大豆にする際、麦わらは全量チョッパーなどで処理し表面にすき込むこともお勧めします。窒素飢餓が起こるといわれますが、大豆の生育にはちょうど良いのではないかと感じています。
もしどうしても、使用したい資材がある場合は
を参考にしてください。最新版をチェックしてください。有効期限も気をつけてください。
そのほかの資材も資材証明書がいるので各認証機関のチェックを受けてから使用してください。
品種の選定
当農場は十勝の東北部本別町の標高200m前後を中心とした高台の湿性火山灰土と標高120m前後の狭い沢地帯の湿性火山灰土(一部泥炭、砂地含む)だいたいこの2箇所で行っています。限られた品種しか作ったことしかありませんが参考になれば。
大豆(有機大豆経験2品種ですが…)
当農場で栽培しているのは有機管理始めた初年度から大粒の(豆腐向)『とよみづき』と2年目から小粒の(納豆向)『ユキシズカ』が加わりました。
当農場での、お勧めは『とよみづき』(ダイズシストセンチュウにも強く、わい化病にもやや強い)です。
当農場が出荷している集荷業者では2021年以降『とよみづき」は有機としては取り扱わないと通知されました(2020年春の段階)。2021年以降は「ユキホマレ」「ユキホマレR」になります。
理由として当農場では
『とよみづき』と『ユキシズカ』では収量があるのは『とよみづき』
有機(転換期間中も含む)『とよみづき』が6年平均(〜2019年)が230kg/10a
有機(転換期間中も含む)『ユキシズカ』が5年平均(〜2019年)が200kg/10a
(『お手本』の農家さん300kg/10aは普通にとれるようです。当農場では初年度に260kg/10aが最高でこの差は大きいです。)
2000年台に慣行栽培で大豆を作っていましたが良い年で300kg/10a、ただ年次格差が大きく平均すると210kg/10aぐらいでした。品種が違うのでなんとも言えませんが感覚でいうと収量は変わらないです。高台の大豆の生育は寂しい感じがあります。2018年は特に畝が塞がり切らず葉が落ちてから畝の間の雑草が目立ちました。高台では少し気温もしくは畑の養分が足りないのかもしれません。
大粒と小粒ではマメシンクイガの被害が出やすいのは大粒の方です。
大粒の場合、当農場では開けた高台の方が沢地帯より被害が少ないです。山が囲まれているからなのか、温度が高いからなのか、またはその両方なのではないかと考えます。
2019年は高台の方が虫食いの被害多かったです。
収量があるのは沢地帯の方です。
わい化病やその他の病気に関しては『ユキシズカ』の方が弱い感じがします。(『とよみづき』と比べ)
雑草の点で管理しやすいのは大粒の方です。小粒の方が出芽してからの生育が緩慢でより難しいです。種まきはユキシズカは5粒以上落とした方がよいかもしれません。とよみづきは5粒前後で良いでしょう。
収穫時期が早いのは『とよみづき』です。肥料が切れて早く上がるようです。収量は慣行栽培の方と比べると収量は落ちるようです。
除草剤を使わなくなって感じるのですが、除草剤は初期生育にかなり悪影響を与えていると実感します。慣行栽培の方のほ場と比べると寒さとか風などで生育遅延など症状が出た時、除草剤の影響もかなりあるのではと感じています。
当農場での、お勧めは『とよみづき』(ダイズシストセンチュウにも強く、わい化病にもやや強い)です。
マメシンクイガの虫害が多く予想される場合は『ユキシズカ』などの小粒大豆です。
小麦(有機小麦経験2品種ですが…)
当農場での有機小麦(転換期間中を含む)の取組は2016年から『きたほなみ』と『キタノカオリ』。
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
有機きたほなみ | 298kg/10a | 334kg/10a | 302kg/10a | 217kg/10a |
有機キタノカオリ | 穂発芽のため規格外 | 164kg/10a | 295kg/10a | 219kg/10a |
有機はるきらり | – | – | – | 205kg/10a |
(いずれも1等)
当農場でのお勧めは
安定の『きたほなみ』です。
小麦は当農場の場合畑の格差が大きく高台の透水性の良い畑の方が獲れます。沢地帯の畑は暗きょは整備されていますが平均的に地下水位が高いせいか収量はのびません。キタノカオリはその地下水の高い畑でしか作っていないので条件が良ければもう少し良いかも。(穂発芽のリスクの高さから小面積しか作っていなく、小面積に見合う畑が沢地帯に多いため)
まだ3回(2018年12月時点)しか作っていませんが、慣行栽培の感覚からするとこの収量だと規格外小麦ばかりだと思っていました。
小麦の頭の良さを感じます。考えれば当たり前なのかもしれませんがその土地でどのくらいとれるのかわかっているかのように、茎数が減っていきます。無肥料だと春先ゴチャゴチャしていても小麦自身に任せておけばその畑にあった姿になるような気がしています。
思い過ごしよ
赤かび病も散見しますが、集荷業者でうまい調整をしてくれているのかDONの基準値を超えたとは聞いていません。
集荷業者によると、DONの発生は慣行栽培、有機栽培関係なく出る年は出るという話を聞いたことがあります。品種間の格差も大きいとのこと。きたほなみは平均低いと聞いたことがあります。
2019年 はるきらり は DON の基準値超えました。
当農場のお勧めは『きたほなみ』です。多少のミスマッチはあるようですがただでもリスクがあるものにそれにリスクをかけても…
『お手本』農家さんは小麦の品種を混ぜて作っています。フランスの有機農家さんに話を聞く機会がありそこでも品種混ぜてリスクを減らしているそうです。せっかくリスクの減らせる可能性のある技術が交付金対象にならないのはどうなんでしょう。
馬鈴薯の原産地でも品種を混ぜて育てているのを聞いたことがあります。
無肥料無農薬でもまだまだリスクの減らせる古い技術も新しい技術もまだまだありそうです。
集荷業者によるとパン屋さんなどからは人気の『キタノカオリ』やほかの強力向け品種も引き合いも多くリスクの負える範囲で作るのは良いと思います。
(有機小麦の取り組みをしている十勝の農家さんで慣行農法と変わらない収量をあげている農家さんもいます。『お手本』農家さんよりも手間はかかっていますが、魅力的です。当農場では実践していないので、ここでの紹介は省きます…)
播種時期
『お手本』農家さんは8月下旬となっています。オフイビラ源吾農場では8月に播種したことはありません。9月1日以降にしか種をまいた経験しかありません。有機小麦を初めてまいた年の圃場が有機管理を始めたのがその2年前の9月4日だったため9月5日以降にならないと有機圃場としてクリアできなかったためです。その際の小麦の生育に不満はなかったので当農場では9月に入って9月10日までを目標にまいています。
2019-20年シーズンの きたほなみ 9月13日に、は種したところが冬枯れが少なかったです。その地域の推奨播種期間でよいのかも…
写真では、わかりにくいですが↓…
は種機械は(資)田端農機具製作所の広幅(30cm)の10畦のドリルを少し改造してで肥料タンクに種子を入れて行なっています。その為、は種精度はやや悪く(機械のせいではなく、改造と呼べるまでのものができていない当農場の技術の問題です)ので種子量もやや多めです。
機械によっては、は種時期はもう少し幅をとっても大丈夫のような気がします。(は種適期と呼べれる1週間前までに、は種できれば大丈夫のような気がしています。ただ、この時期の天候が安定していないので、早めに、は種した方が安心できます。)
緑肥
緑肥は雑草のタネをつけさせないことを考えれば、生育期間の短い『シロカラシ』はお勧めです。他の雑草が、タネ(実)をつける前にすき込める可能性が高いからです。
当農場では
初年度 「野生えん麦・赤クローバー」混
2年目 「野生えん麦・チャガラシ・ヘアリーベッチ」混
3年目 「野生えん麦・ウインターベッチ」混 と 「野生えん麦・チャガラシ」混
4年目、5年目 「野生えん麦・早生ひまわり」混 と 「野生えん麦・チャガラシ」混
どうしても分解の遅いものや色々な種類の植物を畑に入れたいのと裸地の期間を少なくしたくて作っています。が、やはりそうすると実(タネ)をつけたものがどうしても残ります。小麦中にえん麦が混ざったりチャガラシやベッチも生えてしまいます。特にベッチは小麦の上に覆いかぶさるようになり、小麦の生育もおかしくなったので、苦労して取り除きました。えん麦やチャガラシもタネにしてしまうと小麦に混ざります。(特に冬枯れのひどいところ)現段階ではあまり気にならないですが、この先は問題になる可能性がありそうです。
早生ひまわりも花が咲くまでとなると生育期間が長く雑草の実(タネ)をつけてしまいます。
試験場の方に畑に何かしら植物が生えている状態だと地力がおちないと聞いたことがあり納得する部分もありました。裸地にする期間をできるだけ少なくするか、不耕起栽培が理想ですがそこまで行くには課題がありそうです。そこにこだわると草だらけになってしまって結局この取り組み自体を諦めることになるかもしれないのでジレンマです。
雑草をコントロールするには生育期間が短い『シロカラシ』、1サイクル(3年)有機質肥料は投入しないで土地の能力を理解したうえで、堆肥を入れたり、有機肥料を使うのが現実的ではないでしょうか。
『お手本』農家さんに聞いたのですが、「シロカラシはそのあとにまく小麦の生育を占っているようだ。」シロカラシが背が高く育つところは小麦の生育も良いし、育ちが悪いところは小麦も悪いということだそうです。
この動画は大豆前の緑肥(秋まきライ麦)で北海道では時期的に生育を確保するのは無理かなと思いますが、有機に取り組む当初から気になっている農法。順番は違いますが小麦の後に秋まきのライ麦、翌年の春にローラクリンパををかけ不耕起プランタで大豆の種まき。裸地する期間が少なく表面にマルチとして長く残り理想に近いですがなかなか妄想の域から進みません。
こちらは3分ほど
こちらは15分ほど
各種補助事業について
本当はこういうのを当てにしないのがよいのですけど…
環境保全型農業直接支払
市町村で取り組んでいるのならお勧めしますし、やっていないのなら取り組むように働きかけることをお勧めします。
有機農業(8000円/10aうちそば等雑穀、飼料作物3000円/10a)
2020年度より(12,000円/10a(条件によって2,000円の加算あり) そば等雑穀、飼料作物3000円/10a)
申請額が予算額を上回った場合減額されます。(私の町では満額は出たことはないです。)
多面的機能支払交付金
地域で『多面的機能支払交付金』を取り組んでいて、農村環境保全活動の実践活動で『景観形成・生活環境保全』を選んでいれば、
緑肥は
「農用地等を活用した景観形成活動」や「農用地からの風塵の防止活動」
にも当たる活動と思われます。
地域の話し合いで認められればこの活動にのれるかもしれません。
各市町村の『土づくり***事業』
お住いの市町村の『土づくり』関する事業を行なっている場合、緑肥に対する経費の一部助成を行なっているところもあります。調べてみてください。
以前は「産地交付金」で休かん緑肥に対する助成があったので、緑肥の種子代以上の経費が賄われてました。なくなって感じたのは非常に大きかったなと感じています。
農業共済について
慣行栽培と有機栽培を平行に一緒に行うといたずらに基準反収を下げてしまいあまり経営的によくありません。(全てを有機に移行する場合は別ですが)
「有機栽培部門と慣行栽培部門を分けて加入することはできますか」と、以前NOSAIさんに聞いたことがあります。(見解が変わっているかもしれないので各自で確かめてください。)
NOSAIさんでは「申告が別れていれば可能です。」
「ですが、市町村の農業再生協議会が認めるかどうかが問題です。そちらの方がハードルが高いのではないでしょうか」のことでした。
当時の役場の担当者さんに「家族の中で名義を変えて申告したら」と付け加えてその旨を伝えたところ「そういうことでしたら大丈夫ではないでしょうか」とのこと。違う市町村の担当者さんにも電話で問い合わせたところ、「少し悩んだあと具体的に出てくれば検討します」とのことです。当時と見解は変わっているかもしれませんが聞いてみる価値はありそうです。ただし、今は収入保険制度もでき見解は変わっている可能性もありますが。
小麦の乾燥施設
集荷業者で乾燥も請け負っている書きましたが、移動ピットと各自の倉庫に会う中古の乾燥機があればなおいいです。もし慣行栽培に戻っても集団で取り扱ってない品種の麦やソバとかに使用できるので無駄にはならないと思います。
農産物検査
直接販売できる方は挑戦しても面白そうですね。
自分で販売して交付金も受けるとなると、対象小麦、対象大豆の農産物検査を受けなければなりません。
本別農協さんに調整した種子としてとったものをサンプルに持っていって検査を受けられるかどうか、受かるかどうか聞いてきました。
まず農産物検査については「受けられます。」とのこと
小麦(中古籾摺り機→中古米選別機(2,2mm)で調整)
「ギリ2等、でも指摘は受けるかもしれない」とのこと。うーーん。
大豆「とよみづき」(中古大豆転選機で調整の整粒機で大粒に出てきたもの。)
『3等じゃもったいないけど2等にはならないとのことでした。』
調整は奥が深いですね、セッテイング難しそうです。
(1等を狙わなければ、できそうな気はします。)
農産物検査は受けたことがないので、知らないこといっぱいです。
出荷だけしてして文句言っていたのが恥ずかしくなりました。
価格は
当農場で出荷しているの集荷業者の2019年度の価格は
有機小麦 きたほなみ 1等 7998円/60kg 2等 7638円/60kg(税別)
有機小麦 キタノカオリ 1等 8496円/60kg 2等 8136円/60kg(税別)
小麦引かれるもの
生産者負担金 230円/60kg 検査料 28.8円/60kg
加工料 540円/60kg(入庫重量)
有機大豆 ユキシズカ 3等以上 22000円/60kg(税込)
有機転換期間中17000円/60kg(税込)
有機大豆 ユキホマレ とよみづき 3等以上 25000円/60kg(税込)
有機転換期間中17000円/60kg(税込)
大豆引かれるもの
加工料648円/60kg
販売経費82円/60kg
この他にも 小豆 金時 3等以上 35000円/60kg 黒大豆30000/60kgなどもあります。