有機農業

人は公式を探したがる

gengo

本別町のような十勝地方では小さな町でも畑の土地条件、気象条件がバラエティに富んでいます。

指導機関も経営改善にと優良農家の事例を当てはめがちです。土壌の化学性の診断をもとに肥料を減量して結果のでる農家、肥料を減量すると収量も品質も下がってしまう農家、この資材が良いと使用して結果の出る農家、出ない農家いろいろです。結果が出ないと、土づくりがなっていない、とか、働かないからとか一昔前まではよく聞いた話です。

自分も御多分に洩れず、自分のことには棚に上げその経営者が下手だから結果が出ないと心のどこかで、思っていました。しかし、条件の悪い畑を作ったとき以前の農家さんの苦労を思い知りました。結果が出ないのです。農家の公式は一つの農法や資材で全ての農家が改善するほど、そこまで単純ではないのです。

そんなある時肥料会社の営業の方から1冊の本をプレゼントされました。

関 祐二さん著「いごこちのよい土壌」

字が大きく読みやすかった。農家していない方でもわかりやすく簡単に読めるのでぜひ皆さんも手にとる機会があれば読んでほしい一冊です。

 今でもまだまだですが「基本的なことが何もわかっていなかった」と思います。

物理性・化学性・生物性が大事なことは前から聞いていて知っていたはずなんですけど、全然理解できてなかった、(今でも何もわかってはいないですが…)
基本的なことが感じられていなかった。

 有機農業に挑戦できたのもこの本のおかげです。(有機農業の本ではありません。)
たとえ有機への挑戦を諦めたとしても、地域の平均的な収量や品質を維持できる自信が付いたからです。もちろん有機栽培にも応用できると感じています。

今考える畑の公式(独断と偏見が入っています。)

農業資材で色々な生物系の資材が出ます。このサイトでいう怪しげな資材というものです。全く効果が無いとわけではないです。よく結果を残している農家がこの手の資材を使っていることも多いので効果はあると思います。
しかし、もともとの畑が物理性の面で、問題がある場合効果が出ないような気がします。
以前は水はけがよかったのに、最近水がたまるようになったという場合ではなく、もともと水はけが悪い、ような場合です。

そのような畑は、まず、物理性の改善が大事です。日本のような雨の多い地帯で畑作をするなら、水はけの良い畑(同時に水持ちがよければ最高)にはかないません。排水設備、畑の中に疎水材を入れ畑の水を抜く施設(暗きょ)も効果があります。
それでも、もともと透水性・保水性の優れた畑にはかないません。

その次に、化学性です。日本のような火山列島で栄養の足りなく酸性に傾きやすい火山灰の畑が多いです。畑作物には向かない栄養バランスになりやすいです。有機資材も含めて、バランスをとると結果も出てきます。しかし物理性改善なしに化学性から改善しても効果は少ないです。

物理性・化学性を改善すると勝手に生物性は改善されるように感じます。この時点から、怪しげな資材の効果が、出始めるのではないでしょうか。
ただし、もともと土地条件の良い土地にはかなわないと自分は感じています。

適地適作なら、怪しげな資材も効果がでる。

適地ではないなら、物理性>化学性>生物性の改善です。この手の畑ではいきなり生物性の改善では、怪しげな農法や資材のままで終わってしまいます。

公式は単純ではないと書きましたが、もっと単純でした。

公式=適地・適作。

適地でなければ、まずは物理性>化学性の改善。しかし、気象条件、日当たりなどの条件は変えられません。
条件不利地を適地に変えられる農家は、0から何かを生み出すのに近いのではないでしょうか。この能力が優れている農家は鬼に金棒です。簡単ではありませんが、、、

以前、あるサイトに、新規の有機農業を始めるかた向けの畑選びのポイントに
・透水性・保水性の良い土地
・日当たりが良い
・平らで作業性がよい
などの条件が書いてありました。
農業(特に土地利用型農業)は不動産業のような一面があるのです。条件の良い土地にはなかなか、かなわないのです。

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