農場ブログ

小麦縞委縮病????

gengo

順調に生育が進んでいた麦さん達…
十勝管内で、なんだか黄色い圃場が結構多いです。
縞委縮病または萎縮病と思われます。

本別は十勝管内では発病が少ない方でしたが、今年は ちらほら 疑われる圃場がみられます。
当農場でも怪しい症状がある小麦畑が。
暖かくなって症状が回復すればよいのですが…

ネット検索してみました。

北海道立総合研究機構農業研究本部
秋まき小麦の縞委縮病と萎縮病
秋まき小麦の縞委縮病と萎縮病

以下「秋まき小麦の縞委縮病と萎縮病」から引用

・コムギ縞萎縮病(以下、縞萎縮病)は、土壌中に棲息する Polymyxa graminis(ポリミキサ グラミニス)という微生物が媒介するウイルス病です。

・縞萎縮病に対する抵抗性は品種によって異なります 
「きたほなみ」では「ホクシン」・「キタノカオリ」に比べ、黄化症状を伴うことが少ないため、軽症の場合には症状を見過ごしてしまうことがあります。
また、抵抗性品種の導入は有効な対策となります。現在利用可能な抵抗性品種は「ゆめちから」のみですが、各育成地では縞萎縮病抵抗性品種開発の取り組みも進められています。

・縞萎縮病の対策は?
❶ 小麦の過作を避ける
❷ 播種適期を守る(早まきは、ウイルス感染時期を長引かせます)
❸ 土壌水分の多いほ場では排水対策を実施
❹ 抵抗性品種の作付

以上

当農場の主力品種、きたほなみ、キタノカオリ とも抵抗性は やや弱 と 弱 …
ちょっとまずいですね…
将来的に作れなくなる可能性が…

こちらの研究では

東北農研研報
コムギ縞萎縮病の発生生態に関する研究 大藤泰雄
コムギ縞萎縮病の発生生態に関する研究 大藤泰雄

以下「コムギ縞萎縮病の発生生態に関する研究」より引用

研究史

(P18)本病は,大正年間に我が国で初めて発生が報告され,昭和初期には我が国の麦作振興に伴い全国各地で発生が報告された。

(P20)コムギ縞萎縮病は,日本で最初に報告された病害である。現在は,中華人民共和国でも発生が確認されている。当初は,1898 年頃より静岡県内で原因不明の生育異常として知られるようになり,「すわり病」,「麦萎縮病」,「麦黄萎病」等の名称で呼ばれていた(静岡県立農事試験場 1916)。その後,大正年間から昭和初期にかけて北海道から長崎県まで,全国のコムギ栽培地において次々と発生が確認されている(栗林 1919,和田・深野 1935b)。
1921 年に末松(1921)は,コムギの萎縮病には,葉身が著しくねじれて葉色が濃いものと,葉身は捻れることなく葉色が淡く縞を生じるものの2種類があるとした。
沢田(1927)は,後者を「小麦縞萎縮病」として命名発表し,以降正式な名称となった。当時は,原因不明の病害として,現在の麦類萎縮病と混同されていたようである(卜蔵 1933b)。

耕種的防除法

(P22)コムギ縞萎縮病の耕種的防除法として,古くから播種期を遅らせる晩播が有効な手段とされた(鋳方・河合 1940)。また,オオムギや抵抗性品種を栽培した跡地で発病率が低下することから,このような作付け体系が可能な地域では麦種転換は有効であるとされている(渡辺ら 1995)。
そのほか,土壌鎮圧も有効であるとされる。耕種的防除法は土壌・気候などの環境に依存する要素が多く,また発病軽減の機作についても不明な点が多い。安定した効果を得るための,適用条件を明確にする必要がある。

コムギ縞萎縮病の発生生態に及ぼす温度の影響

・秋期の感染は,日平均地温が約8~ 15 ℃の時期に起こっていた。また,越冬後の春期にも感染は起こることが明らかとなった。

・コムギ縞萎縮ウイルス(Wheat yellow mosaic virus,以下WYMV とする。)は,コムギ体内で,冬期間0℃程度の低温下で増殖していることが明らかとなった。

・播種期の違いが発病期のコムギ体内の WYMV 濃度に及ぼす影響を調べた。結果,全ての供試個体で感染が確認されたが,播種期が遅れるに従い ELISA 値が低下していた。発病も,播種期が遅れるに従い軽減されていた。

秋期のコムギの生育量が多いほど発病が激しくなった。

・病勢は,日平均気温約5~ 10 ℃の時に進展した。日平均気温が 10 ℃近辺で変動している時に病勢は停滞した。連続して日平均気温が 10 ℃以上となるとマスキングが起こった。
春の発病期の気温の推移が,秋期の環境条件同様に,発病程度に影響を及ぼしていることが示唆された。・

・WYMV のコムギ体内における増殖・移行は 10 ℃付近が活発であるが,病徴発現
には5℃が適している
ことが示唆された。15 ℃は,ウイルスの増殖,病徴発現のいずれにも適さなかった。

WYMV の媒介者 Polymyxa graminis のコムギ根への侵入量は,13 ℃付近で最も多く,10 ℃以下および 17 ℃以上では少なかった。6 ℃ではほとんど観察されなかった。従って,媒介者の活動は 13 ~15 ℃の時最も活発と考えられる。

以上

なかなか一度まん延発生すると、抵抗のない品種は厳しくなるかもしれません。

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